ゼミレポート②「アルバイト先の賃金支払い形態について」

 

このテーマは、ゼミでは例年、誰かが書いているので、過去のレポートを読めば、何をどう書けばよいのかがわかるので書きやすい。焦点となるのはアルバイトの賃金形態では時給制がよいか、出来高制がよいか、である。時給制と出来高制の概念とその特徴を教科書(小幡『経済原論』)で学んだうえで、バイトの同僚や、雇い主(店長、塾長、教室長など)から話を聞く。

このテーマを選んだ学生は、取り組む前は、出来高制を望んでいたが、話を聞いていくうちに、出来高制の困難や、時給制となる必然性を知っていくのがいつものパターンである。出来高は計測できない、無理に出来高制にすると出来高として計測しやすことだけをしてそれ以外をやらなくなる、バイトの同僚との調和が乱れる、といったことである。

これらのことだけでもレポートを書く意味があるが、しかしそれだけではなく、原理論のレベルでの理解も変わってくる。とくに問題になるのは、出来高制と、時給のランクアップとの区別である。出来高制は、客観的に計測される出来高に応じて賃金が増減する。他方、時給のランクアップは、困難な業務ができるようになるといった「単純労働から複雑労働への変化」、同じ業務について要求される習熟度に達するという意味での「不熟練労働から熟練労働への変化」からなる。この区別は、教科書を勉強しているときにはわかっているようでわかっていないが、レポートを書いてから初めてその意味に気づく典型的なことがらでなる。

他にレポートをめぐって議論することでいろいろと気づきはあるが、このくらいにしておく。


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