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FRB(アメリカ連邦準備制度)の赤字(2025Q3まで)

以前「 FRB(アメリカ連邦準備制度)の赤字 」について 2025Q3 まで更新されたので、グラフを延長する。データ、出所などの説明は以前の記事を参照。 FRBの利息収入( 青い破線 )は2022Q2以降、ほぼ同水準で変動しているが、利息費用( 緑二重線 )が2023Q3から徐々に減少している。それ以外に債権(国債など)と債務(当座預金)の額を考慮する必要があるが、ここでは省略している。財務省への送金前の純所得( 赤い線 )の赤字はかなり縮小してきた。2025Q3も前期比べてごくわずか赤字は拡大したが、蛍光的には銀行業資本として正常な状態に戻りつつあるといえる。 なお、用語の対応は、 総利息収入Total interest income、 総利息費用 Total interest expense 財務省への送金前の純所得 Reserve Bank and consolidated variable interest entities net loss before providing remittances to the Treasury 損失の場合は、 Reserve Bank and consolidated variable interest entity net loss before providing remittances to the Treasury   準備預金への利子率 Interest rate on reserve balances (IORB rate)

2024年度研究会の備忘録

 

2024年度も原理論の研究者と、金融分野の現状分析研究者との合同研究会を続けてきた。その際のメモを記しておく。

超過準備が大量に存在しても、中央銀行による短期銀行間利子率の誘導は可能である。中銀当座預金に利子をつけることで下限を設定することができる。上限は中銀貸出の利子率による。この差がコリドー。ただしコリドーで完全にやってしまうと、市場の機能を損なう、という懸念があるらしい。

準備預金というのは何か、ということが話題になった。中銀のBSを調べていると、法定準備以外は準備預金とは言わない。その他の中銀預金、というような言い方になる。

中銀が支払う預金金利を上げれば中銀の利益が大きな赤字になることがある。これは重要視する人としない人がいる。まずは、経常収益の赤字と特別損失の問題に分けるべき。信用貨幣の商品価値の根拠という面からは、特別損失が問題であって、経常収益の赤字は比較的、軽い問題だろう。

中銀が大量に国債を買っても財政ファイナンスというわけではない。国債購入は長期金利を誘導するためであって、財政のためではない。

銀行間の支払いは中銀の当座預金の振替、と思っていたが、実務的には中銀預金を動かす前に銀行間の資金支払いはされている、らしい。このあたり、決済の実務的な仕組みと対応させて考えてみる必要がある。

量的緩和(QE)という表現はよくないように思う。大規模資産購入(LSAP:エルサップ)の裏側で起きている現象。恐慌期の信用危機に対する信用緩和政策と、不況期の景気対策の長期金利低下とは別のもの。前者にはいろいろな形がありうるが、後者は大規模資産購入の裏側として中銀預金の量的増加が生じている。

下のグラフは、リーマンショック直後の恐慌の状態と、その語の不況対策の違いがわかる。

縦軸は百万ドル、横軸は週次データ。

他にもあるが、今回はここまで。

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